メモの魔力を持てば世界に敵はいない
「魔法の杖なんて存在しない」
そんな現実が当たり前の社会において、筆者はある確信を持っています。
それは、メモこそが人生を変える「魔法の杖」であるということです。
メモを手にすれば、日常のあらゆる出来事を片っ端からアイデアへと変換できます。
普通なら見過ごしてしまう小さな出来事も、メモを通せば価値ある発想の種になる。
つまり、メモの魔力は「日常をアイデアに変える力」なのです。
さらに、そのメモの対象を自分自身に向ければ、自分が何者なのか、何を望んでいるのかという輪郭まで見えてきます。これはまるで、人生の航路を示すコンパスを手に入れるようなもの。
情報をアイデアに変える。
自分を客観視し、深く理解する。
メモは、あなたの可能性を広げ、人生をより良くしていくための最強の味方になります。
本書ではそんなメモが持つ魔力とメモの活用方法を自分なりに分かりやすくまとめていきます。
メモをによって鍛えられる5つの能力
私たちは日々、膨大な情報に囲まれていますが、それらをきちんと捉え、理解し、自分の成長に活かせている人は多くありません。
そんな中、「メモ」という行為は、単なる記録以上の力を秘めています。メモを続けることで鍛えられるのは、次の5つの能力です。
①知的好奇心の向上
メモを「第二の脳」として情報をストックし、頭の中は新しい発想や有用な思考に集中できるようになります。
②情報獲得の伝導率向上
メモ習慣によって情報を拾うアンテナが増え、必要な情報を素通りせずキャッチできるようになります。
③傾聴能力の向上
相手からより多くの情報を引き出そうと耳を傾ける姿勢が身につき、相手に好印象を与えられるようになります。
④構造化能力の向上
議題や話の内容を整理して捉える力が、メモを取る中で自然と磨かれていきます。
⑤言語化能力の向上
曖昧な感覚や漠然とした思考を、的確な言葉に置き換える力が育ちます。
このように、メモは「思考を整理し、必要な情報を引き寄せ、相手との関係を深める」という多方面の能力を底上げする、強力なトレーニングツールなのです。
アイデアを生み出すメモの書き方
効果的なメモの書き方を学ぶ前に、覚えておくべき大切な前提があります。
それは、メモは単なる技術ではなく「姿勢」であるということです。
フォーマットや書き方を知ることは確かに有効ですが、
それ以上に大切なのは何らかの目標をもって日常のあらゆる情報にアンテナを張る意識です。
そのうえで、著者が提案するメモの方法論は次の通りです。
- 見開きで使う
書くスペースが狭いと、思考まで窮屈になります。
見開きページを使い、左側に左脳的な「事実」、右側に右脳的な「発想」を書き分けます。 - 左ページ:ファクト(事実)
ここには見聞きした情報や事実を記録します。会話、読書、経験など、客観的に確認できる内容を淡々と書きます。 - 右ページ:抽象化と転用
右ページは縦に半分に分け、左側に「抽象化」、右側に「転用」を書きます。
・抽象化:左ページの事実から、他にも応用できる法則や本質的な気づきを導き出す思考作業。
・転用:抽象化で得た気づきを、実際の行動や新たなアイデアへと応用するステップ。
✅実例
著者が小学生の頃、駅前でギターの弾き語りをしていたときの経験を例にする
■ファクト
・カバー曲の方がオリジナル曲よりも立ち止まってもらえる
・リクエストに応じると相手との距離が縮まる
■抽象化
・仲良くなるには双方向性が大事
・人は上手い歌よりも「絆」にお金を払う
■転用
・双方向性があり絆が生まれる仕組みをネットに作る
このように、ファクトを書きっぱなしにせず、そこから抽象化して転用につなげることで、知的生産性は格段に高まります。この習慣を持てば、目の前の出来事がすべて成長と成果の源になります。
抽象化とは本質を考えること
抽象化とは端的に言うと具体的な事象の本質を考えること
一見バラバラに見える出来事や成功事例も、その奥にある共通の原理やルールをつかめば、他の分野や場面に応用できます。
抽象化の最大の目的は、気づきをそのまま終わらせず、何かに活かす=着地させること。
そのためには、日頃から「解くべき具体的な課題」を多く持っていると有利です。
なぜなら、抽象化したルールを転用する際、明確な課題があると効率もモチベーションも格段に上がるからです。
もちろん、課題がなくても抽象化は可能ですが、成果に直結させるには課題の明確化が欠かせません。
次のステップでは、メモの魔力を活用して自分を深く知る方法に進んでいきます。
メモの魔力で自分を深く知る
メモは、他人や出来事の記録だけでなく、自分という存在を掘り下げるための最強のツールにもなります。なぜなら、頭の中だけでは曖昧で流れてしまう感情や考えを、紙やデジタルに「見える化」することで、客観的に自分を分析できるからです。
ここでは、幼少期の苦しい経験を例に、抽象化と課題設計を通して目標を形にしていく流れを紹介します。もちろんこの一つではなく、著者は1000個の質問に答えたうえで自分と向き合っています。
- ファクト
まずは感情が大きく動いた出来事を、ありのままにメモします。
幼少期、お金がなくて塾に行けなかった。塾に通っている子のほうがどうしても賢かった。
しかし、その後、死ぬ気で勉強し、追い抜いた。
- 抽象化
「なぜそれが自分にとって重要だったのか?」を掘り下げ、本質的な価値観を見つけます。
運命を自分で覆したい。
逆境はばねになることを証明したい。
それが自分の行動のモチベーションになっている。
- 転用
この価値観を別の分野や人生の方向性に活かします。
このモチベーションを原点に置ける事業を作る。
同じような憤りや悔しさを持つ人に、自分の体験を伝えて勇気を与える。
感情が大きく動いた事実(ファクト)を記録し、その出来事の本質(抽象化)を掘り下げることで、自分の価値観や行動原理が明確になります。
さらに、その価値観を他の分野や未来の行動に応用(転用)することで、日々の気づきが具体的な課題や人生目標に直結します。このプロセスを積み重ねれば、過去の経験が単なる思い出ではなく、未来を形づくる設計図へと変わります。
メモで人生を豊かにする
『メモの魔力』を読んで、私なりに内容を整理してみました。
私自身もメモ帳を手に、日々の疑問や気になったことを書き出し、少しずつ抽象化する習慣を始めています。
メモには、私たちの生活を豊かにしてくれる力があります。
世界を知り、アイデアを生む力
自分を知り、人生のコンパスを持つ力
夢を描き、熱を生む力
これは著者の言葉ですが、私自身の人生の軸の一つとして大切にしていきたいと思います。
このブログを読んでくださった皆さんも、メモを通して日常の気づきを拾い、自分らしい人生を少しずつ育んでいけたら嬉しいです。